母の訃報を受け、急遽帰省を決めた3月24日は、湯河原町議会議員選挙の投開票日でした。
土屋由希子さん率いる「地域政党ゆがわら」から立候補した、新人候補のさおとめ智子さんの応援に、数回入っていたので結果を気にしていました。
(みごと上位当選されました。)

同時に帰省した熊本は、県知事選挙の投開票日でもありました。
ここは順当に、前知事の蒲島氏の教え子でもあり、元副知事だった木村 敬 氏が当選されました。
この県知事選挙、候補者は4名でしたが、その中でひとりの候補者が『日本では農薬、添加物の基準値が海外に比べて規制が緩く、人体への影響の安全性が明確にされていないにも関わらず使用されている』と訴えていました。
よく聞く間違いです。
食品安全については、小林製薬の機能性表示食品「紅糀コレステヘルプ」の問題もあって、注目度が高まっています。
先日は神奈川の自宅にも、オーガニック給食を推進したいという方からハガキをいただきました。
私だけではなく、近隣の市町の議員、ほぼ全員にハガキが届いたようで、所属されている団体は全国で市町村の議員にはがきを送る取り組みをしていらっしゃるそうです。
主旨に賛同しかねる旨をハガキに書かれたアドレスに送信したところ、返信が来ました。
そこには『日本の野菜は世界の中でトップクラスの農薬漬け。日本の野菜は、欧米では基準をみたしていないため、売ることができない。日本の認可されている添加物の数も海外が二桁なのに、日本だけ、300以上』と。
某熊本県知事候補と同じような主張が展開されていました。
事実誤認です。
食品添加物はどのくらいの量をどれだけ摂れば、どんな影響があるかはっきりわかったものが指定添加物として、登録されています。
だからこそのADIも規定されています。
そこまでのデータがそろっていないが、長年の食経験から大丈夫というものは既存添加物に分類され、ここにあるものもデータがそろうと指定添加物に移行されます。
そして、各国の役人も馬鹿でもなければ、そんなに暇でもありません。
農薬や添加物の規定が各国バラバラだと貿易の非関税障壁となるので、WHOとWHOに加盟している国(188か国+EU)はどこもコーデックス委員会が定めた共通の規制値をベースにした数値を採用しています。
因みにコーデックス委員会はWHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)が設置する国際機関です。
そこでの農薬の取り扱いについては下記のURLをご参照ください。

昨年のコーデックス委員会60周年関連事業のロゴマーク
よって農薬の基準値が原因で日本の野菜がヨーロッパで販売できないことはありません。
日本の野菜が欧米で販売されていないのは、主に距離の問題だと思われます。
葉物野菜をヨーロッパに船便で持っていこうものなら、輸送中に干からびてしまいます。
航空便ではコストがあいません。だから一部の日本料理店が使うようなもの以外流通しませんし、逆にヨーロッパの野菜を日本のスーパーで見ないのも同じ理由です。
すこし流通コストを考えればわかりそうなものですが・・・。
日本の農産品輸出は距離的な問題もあり、加工品でない農作物では果物や和牛など付加価値の高いものが、比較的近距離の中国・香港・台湾向けに行われています。
対欧米輸出は日本酒が大きく伸びています。
食品添加物もこのコーデックス委員会の中の部会で扱われています。
先ほどあげた、日本の指定添加物は現在475品目あります。
また、果汁100%のオレンジジュースも、これをゼリーの色付けや香りづけに使用すると一般飲食物添加物として添加物の扱いになります。
目にいいとされるブルーベリーエキスも飴の色付けに使うと添加物扱いです。 私が以前、説明するとき例に使ったクエン酸3エチルは、世界中の期間で37年かけて互いに検査結果を追認するような形で検証してきて、そのうえで認められました。
そこに掛る研究者の延べ人数や、試験研究費たるや莫大なものです。 それだけのことをやって初めて安全性に関するエビデンスそして採用されています。
一方アメリカの食品添加物は1600程度あるようです。
10年前は1160だったと記憶していますが・・・データが確立すると管理品目が増えるようです。
食品安全を語るなら、せめてコーデックス委員会くらいは知ったうえで語ってほしいと思います。 なお、コーデックス委員会、ADI、TDI、JECFA、FASEB、それにアメリカのGRASなどは興味があれば、あるいは食品安全を語りたければ、ご自身で検索してみてください。
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