4月13日に日本の選挙セミナー「ここがおかしい日本の選挙」を受講してきました。
主催者は(公財)市川房江記念会女性と選挙センターです。

最初は弁護士の五百蔵 洋一先生からの公職選挙法の話しでした。五百蔵はいおろいと読みます。五百旗頭(いおきべ)さんという知り合いがいるので、「いおくら」さんかと思っていたら、先生から自己紹介の時に『多少日本語の知識がある方は「いおくら」と読みがちですが・・・』と話がありました。

内容は一言でいうと、公職選挙法は「曖昧」だということです。
これは公選法のルーツである1925年施行の「普通選挙法」の時から敢えて曖昧にしておいたそうで、その方が、気に入らないやつはさじ加減で逮捕できるからのようです。
ネット選挙については2013年7月から公選法改正で認められるようになりましたが、それ以前には、ネットは一種の文書とみなされ、証紙が貼れないために(笑)違反とされていたそうです。なぜ政見放送と同じ枠にとらえられなかったかと、当時の国会議員のセンスを疑います。
まあネットを駆使できない人たちが決めたので???てんこ盛りです。メールでの投票依頼はNGでもSNSは野放しです。
ただ、現在、投票に行く人の多くはアナログ世代でもあり、ここは無視できません。首長選挙と異なり、議員選挙は1位でなくてもいいので、ターゲットを明確にした選挙運動の展開が必要とのこと。

次に具体的な選挙活動の異なる事例として、従来型とデジタル選挙を戦った現職議員の方の話がありました。
従来型の代表は愛知県西尾市議会議員の鈴木 規子 議員でした。
鈴木市議は、選挙が終わった日からが次の選挙の始まりと明言され、日頃から「辛口議会だより」や「鈴木のりこ応援団通信」を発行してポスティングを行い、自分の実現したいことは署名運動を積極的に展開されているとのこと。
この署名の面白い点は「鈴木議員は応援しないがこの政策は進めてほしいから署名する」という方が相当数いらっしゃるというところです。
支援者でなくても、署名してもらうことで政策が実現すれば、実質そのことが鈴木議員の実績となり、結果として後押しとなる。目からうろこでした。
一方デジタル選挙の代表はつくば市議会議員の川久保 皆実さんです。
2020年の選挙で初当選されました。
立候補理由は、コロナ禍につくば市に移住し、つくば市の公立保育園に二人の息子を通わせたところ、千代田区の保育園に比べて親の負担があまりに違うことに驚いたからだそうです。
例えば、千代田区では、お昼寝用の布団もシーツも保育園側が用意してくれて、親は週に一度、新しいシーツを布団にかけるだけでよかった。でも、つくば市では、入園時に布団一式を親が購入して、それを毎週末持ち帰らなくてはならなかった。
当時、つくば市では3歳児クラス以上になると、給食で主食が出なくなり、親が白米だけを弁当箱につめて持たせなくてはならなかった。(2歳児クラスまではそれは無し)
保育園で使用したオムツも、千代田区では園側で廃棄してくれていたのに、つくば市では持ち帰りが必要。
そして保育料もつくば市の方が高い。
同じ公立なのに、あまりに違い過ぎることに、議員になって声を上げれば変えられるのではないかということで、公示3ヶ月前に立候補を決めたとのこと。
それからは一般の選挙運動とは一線を画し、「TSUKUBA CHENGE CHARENGE」というサイトを立上げ、動画とチラシで政策をうったえ、選挙期間中はごみ拾いを主な活動にして、それをSNSで発信するという手法で当選を果たされました。
ただ、誰でもどこでもこれが可能かというと、そうはいきません。
まず川久保さん自身、都内千代田区から移住したとはいえつくばで生まれ育っています。
また東大卒、弁護士、IT企業経営者というブランドがあります。
また背景として、人口の約半数が20~59歳となっており、子育て最中の現役ママさん候補者にシンパシーを感じる人が多く、デジタルを普通に使いこなす層でもあるということが挙げられると思います。
因みに1年前を振り返ると、私の選挙戦は両社のハイブリッドで、やや鈴木さんよりというところでしょうか?
終わってから、市川房江さん関連の展示を拝見しようと思っていましたが、会場で知り合った教育関係の方が、次の市議選出馬を考えているとのことで、急遽お茶会の設定となり、
市川房江さんの看板の前で、同じく参加してらした南足柄市議の岸本あつこさんと記念撮影するのが精一杯でした。

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