女性差別撤廃条約選択議定書の批准について
- sumioyamashita2847
- 2024年5月31日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年8月7日
5月25日土曜日、新宿の婦選会館において『市川房江政治参画フォーラム「一人ひとりが尊重される権利」を受講してきました。
最初のプログラムは基調講演として、主催の公益財団法人市川房江記念会女性と政治センターの林 陽子 理事長による「女性差別撤廃条約・日本審査に向けて」というものでした。
我が国も1985年に批准した「女性差別撤廃条約」にはその履行を確保するために国家報告制度があります。これは条約の内容を国内でどのように実現しているかを、批准国に報告させ、条約機関がその内容を審査・勧告するというものです。
最新の事前質問票に対する国の回答を少し見てみたいと思います。なお、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックにより、事前質問票に関する回答は2021年のものが最新となっています。

問7に、「本条第4条の1および暫定特別措置に関する委員会の一般勧告25号(2004年)に従ったクオータ制の採用に向けた取り組みを報告されたい。」という項目があります。
国の回答は、男女共同参画基本計画の第5次基本計画では、男女共同参画基本法の趣旨に沿って、政党に積極的な改善措置を求める自主的な取り組みを養成要請することを定めている、という趣旨です。
政党に要請することを定めているだけで、結果にコミットしていません。
これに先立つ第5問では、独立の国内人権機構の設置に向けた取り組みを示せというものに対して、適切な措置を講じているという抽象的な回答しかありません。
一般にNHRIsと略される国内人権機関は、世界130ヶ国にあり、そのうち88ヶ所は、政府から完全に独立しています。
事前質問の中には、男女の賃金格差を是正する具体的な取り組みを問う項目もありますが、この差は縮まってきています。しかし、これは男性の非正規雇用が増加したことにより、男性の賃金が下振れしたことで格差が縮まったもので、決して喜ばしいものではありません。
また国際条約の履行確保制度には、この質問票に代表される国家報告制度の他に、個人通報制度と調査制度があります。 しかし、これは1999年に国連総会で採択された「女性差別撤廃条約選択議定書」に規定されており、その選択議定書を批准していない日本では活用できません。
個人通報制度を受け入れない理由として国は、国内の「司法制度や立法政策との関連での問題の有無や、同制度を受け入れる場合の実施体制の検討課題がある」としています。
ひとつは「時間的管轄の問題」と言われるもので、個人通報制度を批准する以前の行為であれば、効力を発揮しないが、その被害者の権利の回復が未だに行われていない場合は、効力を発揮するということです。
ふたつめは通報資格の国籍・居住要件の問題で、通報する相手方当事国の管理下になくてもよい、つまり通報対象の国に住んでいなくても構わないということになっています。
これはどちらも戦後補償、特に慰安婦問題にかかわってくるもので、韓国以外にもフィリピンの元慰安婦の問題もクローズアップされます。
翻って開成町議会を見てみると、昨年の5月にクールビズの規定が示されたときに、ネクタイの着用は義務としない旨の一文がありました。 私は女性議員はどうするのかと訊きました。
事務局から、女性はもともとネクタイをしないので・・・という回答でしたが、そんなことは百も承知です。
質問の真意は、男性の服装のみに言及し、あたかも女性議員が存在しないかのような文書を公文書として発することへの異議でした。
そして先日、議員全員に宛てて「女性差別撤廃条約実現アクション神奈川」という団体から、「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書の提出を求める請願・陳情(案)」という書面が届きました。選択議定書を批准するよう国に意見書を出してくれるよう陳情を出すので、事前に資料を送りお知らせいたします、という丁寧なアクションです。
この近隣では中井町と小田原市が採択しています。
開成町議会でも採択してほしいと思っています。
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